Successful Failure -短編集-
目をこすりながら優子が出てきた。
「優子!あんたいるんならさっさと出なさいよ!」
「うるさいなー。酔って寝てたのに」
不機嫌だった。
しかし、そんなこと私の知ったことではない。
第一、撮影の前夜に呑みに行く方がどうかしてる。
「で、何?」
玄関の壁にもたれかかって優子が聞く。
「お金かしてくれない?財布、どっかで落としちゃって、それで煙草も買えないの」
「じゃあ、はい」
優子が手を差し出す。
「何?」
「2000円」