紙飛行機にのせて…

「…たく！ちょっと待ってろ！」
慎也は、診察室を出ていった。

少しすると、また戻って来た。
「これ！やるよ！だから…なくなよ！」


男の子が、鶴と今の季節の花の折り紙を渡した。
「ふぇ…？」

この時の季節は、春の中旬頃だった。
「わぁ…桜だ！」


「切り替えはや。単純だな、お前。」
折り紙を貰って、琴美は泣きやんだ。


「はい。注射終わったよ。」
琴美は、キョトンと首を傾げた。


「何やってんだよ。つーか、新人か？お前。」

この時の慎也は、生意気な性格だったと思う。第一印象は。


「な、なぁ⁉︎」

「ふーん…図星なんだ。」


琴美と琴美の母親をよそに、言い争いめいたやりとりをしていると…


「慎也。」
白衣を着た男の人が来た。

「あ、父さん！」

「あら、次期医院長先生。」