ドッペル・ゲンガー
ドッペル・ゲンガー

プロローグ

「おい美咲。さっきのとこノート写させて?」

 チャイムが鳴って、クラスメイトがだるだると会話やふざけ合いを始める中、俺は美咲の席へと向かった。

「ええ、また? もう、大吾ったら授業中何やってんの?」

 やれやれとノートを差し出す美咲の手からそれを受け取る。

「悪い悪い。ちょっと寝てた」

 ぽりぽりと鼻の頭を掻きながら、俺は書き写せていないページを探す。

「あのね、毎回毎回そんな事ばっかり言ってるけど、私だっていい加減、考えがあるんだからね」

「な、何だよ、考えって」

「それは秘密。とにかく、ちょっとは真面目に授業、受けてよね」
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