黒十字、邪悪なり
接近遭遇
「……」

ピクリと。

玉座のような椅子に座って膝を組んでいた邪悪が、反応する。

「セシル」

彼が呼ぶと。

「お呼びでしょうか、サー(師や目上の者に対する敬称)」

邪悪の前に、ゾロターンカスタムを携えたセシルが姿を見せた。

ベナル大災厄から10年が経過。

セシルももう30代に近い年齢の筈なのに、下手をするとハイティーンでも通用するような肉体の若々しさを保っている。

邪悪の眷属となり、化け物となった影響だろうか。

肉体は全盛期の状態を維持し続けていた。

< 201 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop