黒十字、邪悪なり
身の程
刺しても、斬っても、貫いても、穿っても。

「どうした、どうしたっ?それまでか祓魔師、それだけかカトリックのエクソシスト!」

邪悪は全身を流血に染めつつも、まるで意に介する事なく笑い続ける。

痛みは感じていないのか。

苦しみは感じていないのか。

或いは感じているにもかかわらず、それすらも愉悦の一つに過ぎないのか。

手足を切断され、反撃すら儘ならない状況にありながら、邪悪は余裕を失わない。

地べたに這い蹲ったまま、ヨセフを見上げたまま、強者の笑みを絶やさなかった。

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