黒十字、邪悪なり
「ぶち殺すぞ、元人間」

腹部の銃創を両手で押さえて悶絶するセシルの金髪を、邪悪は鷲摑みにする。

「何も殺す事ない?寝惚けるなよ眷属。寧ろ『生かしておく理由』は何だ?」

ギロリと。

紅い眼がセシルを震え上がらせる。

「同情か?慈悲か?親近感か?憐れみか?まさか友情や恋愛感情か?そんなものは全て肥溜めにでもぶち捨てろ。蝿の集るクソ溜めにな」

セシルを床に薙ぎ倒し、邪悪は狂乱する!

「盾突けば殺す!刃向かえば殺す!行く手を塞げば殺す!目の前に立てば殺す!敵意を向ければ殺す!殺意を持てば殺す!一瞬苛ついただけでも殺す!気分次第で殺す!」

不穏当な発言の数々。

その発言を、邪悪は歪んだ笑みを浮かべて並べた。

「それが化け物というものだろう。いつまで人間気取りだ?セシル・カイル」

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