時間時計第一部
静かな教室。彼女は僕にこう言った。
「私ね。逃げているの。」
あまり話したことのない僕に彼女は相談してきた。勉強のこと、家のこと、病気のこと...
僕は驚いた。元気そうな彼女が余命をつげられていてあと半年の命だということ。もう何をいっているのかわからなくなった。意識がはっきりしたときこんな話をしていた。
「私、好きな人がいるの。」
こんな感じのことをいっていた。だけど僕はそれを途中でさえぎって
「好きだ!」
と言った。なぜだか自分を惨めだとはわず、この間のようなことはまったく思わなかった。逆にすっきりした。フラれるのはわかっていても、言えたことに後悔はなかった。
「私も。私も好き」
彼女は泣きながら言った。そのあとにこう続けた。
「でも、ごめんなさい。付き合うことはできないの。私すぐに死んじゃうから迷惑かけちゃうから。」
僕はそれを否定するようなことを言った。
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