あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。


〈魔女の証〉を無事受け取ってから早二週間。


あれから特にオスガリアとの小競り合いも起きず、平和に過ぎた二週間だ。


あたしはというと、相変わらずの訓練の日々。


魔力を少しずつだけど、操れるようになってから、一日にちょっとずつ余裕が出てきた。


その空いた分の時間を、この国を知るための勉強の時間と、エディさんとフランさんによる魔力訓練とは別の警護訓練に割いている。


その警護訓練を兼ねて、城下町に降りて国を知ることもすると言っていた。


本来城下町の安全を守るのは、護衛隊とは別の軍の所属 憲兵による仕事なのだけれど、時々人手不足の時は、護衛隊に回ってくるのだ。


護衛隊も、カカオが仕事がない限り動くことはないし、一つの仕事につき、一部隊しか動かないため、もう一方の部隊は暇になる。


実は城下に下りるのは今日のことで、これから予定しているものだ。


今回は、エディさんの第一部隊が城へ残り、フランさんの部隊と城下に行くことになっていた。


 深呼吸を一つして、魔力を解放する。


日が、すでに真上に上がってきている。


そろそろお昼の時間だ。


城下に行くのは午後からだと言っていたし、今日の訓練はもういいかな。


魔力訓練の時間が減ったといえど、魔力がまだ不安定で心配なのには変わりなくて、こうやって隙間時間を見つけては自主練習に取り組んでいる。

 
 あーぁ、今日もできなかったな……。


 最近は魔力も安定してきて、簡単な魔法ならすぐに、難しい魔法は一日二日練習すれば顕現できるくらいになってきていた。


 それなのに、防御結界だけはうまくいかない。


 
< 156 / 335 >

この作品をシェア

pagetop