あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。




「じゃあ、あたしの使い魔は黒猫なんだ」

「そうだ。 魔女は少ないし、それに魔女用の黒猫も滅多に生まれて来ない。 この店ならいると思うのだがな……」



 どんな子だろうな~。


 あたし結構猫、好きだし。


 黒猫が使い魔かぁ……。


 ますますファンタジー小説っぽくなってきたー!


 ウキウキしながら、いろいろとカカオと話していると、ようやく、店主が何かのカゴを持って奥から出てきた。



「申し訳ございません、お待たせしました」

「大丈夫だ。 見つかったか?」

「はい! 最上級の黒猫です! 資料によればこの猫の血筋は、代々魔女に使えてきたもののようです」

「よし、それでいい。 あとは、使い魔がまおを認めるかどうかだな」



 店主はあたしの前に、金で加工されたカゴを下ろし、その小さな扉を開いた。


 中には、赤いふかふかのクッションが敷かれていて、そこに、小さな黒猫が丸くなっており、そのツヤツヤな黒い胸を上下させていた。


 か、かっわい~!!


そっと手の伸ばして、指先で触れた。


つるつると滑らかな肌触りがなんとも心地よい。


 あたしはそっと黒猫を手のひらで包み込むと、膝の上に移動させる。


 黒猫はそれでもなお、スヤスヤと寝たまま動かない。


 あったかい……。


 なんか、湯たんぽみたいで、眠くなっちゃう~。 


 そのツヤツヤな黒い毛皮を撫でると、ピクリと身体が跳ねた。


 そして、その瞳が開く。




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