あたし、『魔女』として魔界に召喚されちゃったんですが。
「それでは、また始めましょうか」
お茶の道具を他のメイドに下げさせ、エプロンを外したリカエルさんは指を鳴らすと、再びメイド服から戦闘服である簡易的な軍服へと変身する。
「はい」
あたしも頷いて、大きく伸びをすると、石畳の広場に移動した。
今はただ、何があるかわからない状態だから、あたしも非常事態に備えられるようにしないと……。
一刻も早く、魔法を操らなきゃ……。
あたしは未曾有の魔力を、有しているらしいが魔力の使い方がいまいち雑らしい。
使う魔法に対してただ力の限り魔力を注ぎ込むので、必要のない分の魔力はただ漏れ出していくだけだ。
もっと上手に使えるようになれば、少ない魔力で巨大な魔法を放つことができる。
それを身につけれれば、魔力の温存、使える魔法の種類も増える。
「それでは、私が軽く攻撃をしますので、魔方陣を出し、防御してください」
魔力を集中させると、紫の光を纏った魔方陣が目の前に現れる。
自分の魔方陣越しに、リカエルさんの魔方陣が赤く輝くのが見えた。
気合いを入れ直し、魔法陣に意識を集中させた直後、リカエルさんの魔方陣から炎が噴出した。
防御っ……!
腕を動かして魔方陣の向きを操り、炎に当てる。
「ッッ!!」
リカエルさんの炎はただの炎じゃない。
炎は一度大きく燃え上がったかと思うと、小さく収束して、大きな剣になり、魔方陣を正面から突きに来る。
ずしりと重たいその衝撃で、足もとがじょじょに滑っていく。
なんとか魔方陣に魔力を集中させ、攻撃を堪える。
それでも、炎の威力は止まらない。
塞ぎかけた瞼をこじ開け、彼女を見つめる。
炎によって起こった陽炎の奥で、白銀の髪を揺らし、リカエルさんが平然と攻撃をしている姿が見えた。