スプリング×ラブ!
「今日も準備室にいる?」
「………うん。でも数学は出るよ」
「数学…じゃあ2時間目だね!」
「……1は保健室に行くと思う」

なんだかんだ、春に心を開きつつある透夜は、彼女の言葉にワンテンポ遅れて返事を返す。そして、不思議なことにそうしているとクシャミは単発で済む──つまり、発作にはならない。

「あっそうだ!これさぁ、」

突然立ち止まった春につられて彼も止まる。カバンの中から取り出されたのは、花粉症の薬だった。

「………ハイ?」
「家にあったの!使いかけで悪いけど、よかったら」
「……なにコレ」
「花粉症の薬」

淡白な答えに脱力して転びそうになりながら、透夜はそうじゃなくてさぁ!と言った。

「見りゃあわかるよ!違くてっ!」
「へ?」

(「バカだ!」)

「花粉症の薬あるってことは家族の誰かが花粉症だろ!」
「うん、お兄ちゃん」
「………はぁ!?兄貴に返せよ!」
「あ、いいのいいの。お兄ちゃん病院から薬もらったから、もういらないんだって」
「………あ、そう」




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