初恋日和

曖昧

そんなこともあり前よりよく話すようになった私と彼は、ひょんなことから彼のお願いで電話を初めてすることになった。

慣れない男の人との電話。

初めて生の声をお互い聞くことになる。


年下ながらも相手は男の人。

まだ完全に心を許したわけではない。


私はそのことに覚悟をしつつ、ドキドキしながら電話をかけた。



何故彼の電話番号も知らないのに電話が出来るかというと、私や彼が使っている会話ツールは無料で電話も出来る機能が付いているからである。

もちろんその人を友達登録した後限定になるが。




…………。


ピコピコピコピコ。

緊張を紛らわせてくれるような軽い音が鳴る。




「…もしもし」

「っ……ん?」



時々電波で途切れて上手く聞こえない。

「……あの、…私、私です。癒衣です。」

「…もしもし、癒衣さん?」

「………!!」

紛れもなく彼の声だった。

彼の声は見た目と違って声は低めで、でも幼い可愛らしさが残る声だった。

「良かったです。私、さっきまで電波が悪いのかあまりよく聞こえませんでしたから…」

「ああ…まあそれは仕方ないって!」

「で、ですかね?」

「…ていうか、何で今更癒衣さん敬語なの?」

「え…あっ…!」

気がつくと敬語になっていた。
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