血の記憶






「ちょっ……離して!」



だんだん近づいてくる男の顔から逃げるように顔を背けた。


抵抗する度に私の手首を掴む力が少しずつ強まる。


その痛さにギュッと目を閉じたときだった。


ガラガラッと扉が開く音が響いたと同時にまぶたの向こう側がパッと明るくなった。



「っ奈央!」



その声にそっと閉じていた瞳を開けた。


そこには息を切らしながら立つ翔真と裕樹、香奈の姿があった。




< 205 / 281 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop