血の記憶
「翔真、泣きそうだった…?」
後に残された私たちの沈黙を破るようにボソッとこぼした言葉に香奈も首を傾げた。
「確かに……どうしたんだろ?怒るならまだ分かるけど」
「俺、分かる気がするわ」
そう言った裕樹の方を見るといつになく真面目な顔。
私と香奈との視線を一身に受けながら裕樹が口を開く。
「翔真は多分怖かったんだよ」
怖かった……?
香奈の方を見ると香奈はなにか思い立ったのかハッと目を見開いている。
「峯岸さん、の、こと?」
そう言った香奈に頷いて見せる裕樹。
その中で私だけが話についていけず取り残されている。