SMIWWER


入学式があったというのにどの部活も
張り切って活動している


いや、入学式があったからだろうか


各部活のマネージャーらしき人が新入部員を確保すべく、手当たり次第に声をかけている


「ねぇ 静香ちゃんはどこか目星はあるの?」


マネージャーから声をかけられるのを避けるために瑞波は静香に問いかけた


「ソフトテニスかなー!」


静香は中学時代テニス部の主将だった


高校には硬式テニスもあるのだが
色々と違うらしい


正直テニスを知らない側としては
ソフトと硬式 それぞれ男女別で計4つもテニス部があるのは ありすぎじゃないかと思う


「瑞波ちゃんは?水泳やってるんだよね?」


「うーん、やってた。
幼稚園からだから10年位かな…」


「やめちゃったの?」


「んー、まあね」


ヘラヘラっと笑って誤魔化す


正直 競泳をやめただけだから
水泳部に入ってお気楽にやっていくのも悪くない


そもそも10年以上水泳しかやってこなかったので他のスポーツは恐ろしい程できない


球技にいたっては見ていて可哀想になるレベルだ


いきなりできない種目の部活に入ってカッコ悪くあがくなら慣れたところでテキトーにやる方がいい


瑞波はテニスコートの金網に興味津々な様子で張り付く静香を少し離れたところから見ていた


中から先輩らしき人が出てきて静香と話しはじめる


静香はちょっと行ってくる
と言うようにヒラヒラと手を振り
‘‘待ってて”と口をパクパクさせコート内に入っていった


ほぼほぼ静香のソフトテニス部への
入部は決まったようなものだ


隣は硬式テニス部のコートでチラと見ると男子が練習をしている


ソフトと硬式なにがちがうんだ


見ても分からないだろうとは思ったがどうせ暇なので練習風景をみていた


「もしかしてマネさん希望?」


コート内から男の人に声をかけられた
硬式テニス部男子の人だろう


瑞波はキョロキョロと周りを見渡し
他に誰もいないので自分に話しかけているのだと分かった


「いえ、友達を待ってて…」


申し訳なさそうに笑いながら瑞波は言った


「そっかぁ、…ま!興味あったら来てね!」


それだけ言うとパタパタと練習に戻って行った


マネージャーかぁ
それでもいいかもなぁ


ボンヤリと考えながら静香が帰ってくるのを待った




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