君が嫌いで…好きでした


授業は淡々と進み次は体育


奏叶「え、千菜体育休むの?」


千菜「うん…今日はバレーらしいし…きっとチームに私は入れてもらえないから休む」


奏叶「そっか…1人で大丈夫?あれだったら俺も一緒にやす…」


ドスっ…

言い終わらないうちに奏叶は湊に叩かれていた


湊「どんだけ過保護なんだよ。心配しすぎだ」


奏叶「いてぇよ湊!」


湊「はいはい。さっさっと行こうぜ」


奏叶「本当に大丈夫?」


千菜「うん…いってらっしゃい」


体育館に向かう2人の背中を見送って私も保健室に向かった


湊昨日はサボったのに今日は体育出るんだ…
保健室行くのもあの日以来かな…凄く久しぶり…


ガラッと保健室の扉を開けてみる

"伊藤「お、東。またサボりか?」"


そんな錯覚を一瞬見たような気がしたけど保健室に居たのは新しい女の先生


先生「あら、どうしたの?」


突きつけられた現実に胸が少し苦しくなった


千菜「体調が優れないので少し休ませてください」


先生「確かに顔色が少し悪いかもね。ベッドで休んでなさい」



私はベッドに横になった
新しい先生…とても優しそうな先生なんだな…まだ私の噂知らないんだ
知ってたらこんな風にしてくれないもん…

ケータイにつけた伊藤先生のお守りをぎゅっと握った

前に進もうと思ったけどやっぱり伊藤先生が居ないのは寂しくて悲しい…
それでも私は受け入れて進んでいくしかないんだろうな…



―――授業終わりの体育館


先生「ピピー…今日はここまで」


湊「あー疲れた」


奏叶「でもやっぱり湊が居ると凄いな。ほとんどスマッシュ決めてたじゃんか」


湊「当然だろ」


先生「七瀬!」


奏叶「なに先生?」


先生「お前体育委員だっただろ?ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ!」


奏叶「えー…」


先生「すぐ終わるって」


湊「じゃ、俺は先行ってるわ」


奏叶「裏切り者!」



――――保健室


ベッドに入ったらいつの間にか寝ていたようで授業終わりのチャイムで目が覚めた


寝起きでボーッとする頭でベッドから降りる


千菜「ありがとうございました…」


先生「どういたしまして」


やっぱり優しそうな先生だな…
真面目そうだし伊藤先生とは大違い…


「東千菜。ちょっと一緒に来てくれない?」


教室に戻ろうとしていた途中で同じクラスのまだ体操着姿の女子数人に声をかけられた


湊「あれ…今、女子と居たのって東?
いや…そんなわけねぇか」


連れて行かれたのは人気のない裏校舎側
ここまで来るとこの後何が起きるか大体想像がつく…


「あんた奏叶と付き合ってるんだって?」


やっぱり奏叶の事…
どうしてこうやってこそこそ呼び出されるんだろう…


「なんとか言いなさいよ!」


千菜「そうだとしたらなんなの…」


パァン!


乾いた音…そして微かに頬に痛みが走った


「たどしたら?ふざけないでよ。なんであんたみたいなのが奏叶と付き合ってるの!」

「そうよ!さっさと別れなさいよ!」


頬がツキツキと痛む
きっとこの人達に何を言っても無駄だろう

それでも不安な私の心にはその人達の言葉が次々突き刺さっていくようだった


千菜「…なんでそんなことあなた達に決められなきゃいけないの」


カッとなったその人達はもう一度私を叩いた


「こいつむかつく!あんたなんて奏叶を不幸にしか出来ない癖に!」


湊「何やってんの」


その時現れたのは湊だった
不機嫌そうな低い声で湊は女の子達を睨んでいた


「湊…!」


湊「何これ。お前らまだこんな事やってたのかよ。最悪だな」


「……っ行こう!」


慌てて逃げるように戻るその人達に湊は一言だけ言った


湊「おい。かなはこんな事するような奴を絶対に好きにはならねぇからな」


その人達は無言のまま走り去っていった


湊「もしかしたらと思って追いかけて良かった。ぶたれたとこ見せてみろよ。あー…赤くなってんな。とりあえず中庭行くか」


湊は私の手を引っ張って中庭に向かった
そんな私達を影から見ている人が居るなんて知るよしもなく…

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