君が嫌いで…好きでした
千菜無事みたいで良かった
千菜と湊…
2人を見てたら何故か足が動かなかった
そして俺の中に微かに不安がよぎる
―――――――――――…
「おい、こいつん家お母さん居ないんだってよ」
「こいつお母さんに捨てられたんだってよ」
奏叶「何してんの?」
「奏叶!こいつお母さん居ないんだぜ」
奏叶「…それがどうしたの?」
「え?どうって…面白いだろ?」
奏叶「何も面白いことないし。そうやって笑って人を馬鹿にする奴俺好きじゃない」
「な、なんだよ…行こうぜ!」
小学校の頃離婚がきっかけで苛められている湊と出逢った
奏叶「たくあいつ等…大丈夫?」
湊「別に助けてなんて頼んでない」
奏叶「うん。でも困ってるように見えたから」
湊「…お前も俺の事可哀想だと思ってんだろ」
奏叶「可哀想?なんで?俺、七瀬奏叶!君は?」
湊「―――…野々村湊…」
奏叶「ふーん。よろしくな湊!」―――…
湊…お前は千菜の事を…
だとしたら俺は…
教室に戻るとさっき千菜の事を教えてくれた女子が心配そうに声をかけてきた
「奏叶!東さんどうだった!?」
直接千菜に関わる訳じゃないけど影ながら千菜の事を心配してくれる人が居る
千菜…千菜はもう1人じゃないんだよ
でも…湊は…?
奏叶「うん。大丈夫だった。教えてくれてありがとう」
「良かった。でも東さんは一緒じゃないの?」
奏叶「うん。でももうすぐ来ると思うよ」
その時千菜と湊が一緒に戻ってきた
湊「かな戻ってたのかよ。もう終わったのか?」
奏叶「まあね」
湊「それより聞けよ。未だにこいつ女子に絡まれてるんだぜ?俺が居たから良かったものの彼氏ならちゃんと守ってやれよ?」
奏叶「そうなの?千菜大丈夫だった?」
千菜「うん…平気…」
なんとなく湊はちゃんと話してくれると思ってた。そして千菜は別に何も言わないと思った。
案の定予想通りで…
湊が考えていることも千菜が考えていることもなんとなく分かってしまう
何より気がかりな事は湊だ…
確信は無いけど気づいてしまった
だとしたら俺は…
でも今は千菜に余計な心配はかけられないだから余計な事を考えるのはやめよう
奏叶「そういえば千菜保健室行ったんでしょ?大丈夫だった?」
俺が千菜に声をかけると同時に湊は他の奴に呼ばれその場を離れていった
千菜「うん…やっぱり少し寂しいけど…新しい先生が優しそうな人で…」
奏叶「そっか。良かった。でも無理しないようにね。俺が居るんだから少しは頼ってよ」
俺が千菜に出来ることは限られてる
でも俺は千菜の為にその出来ることを精一杯やりたい
千菜「うん…」
奏叶「じゃぁ…そろそろ席に戻ろっか。昼休み終わっちゃうし」
そう言って俺が席に戻ろうとすると千菜が服の裾をピッと掴んだ
奏叶「千菜?どうかした?」
千菜「……行かないで…」
最初の頃に比べて喋るようになったし表情も豊かになってきたけどやっぱり不安そうな顔は消えない
奏叶「分かった。チャイムなるまで一緒に居るよ」
そう言うと千菜の表情が少し和らいだ
奏叶「…今日一緒に帰ろう。湊と3人で」
千菜「うん…」
千菜を不安にはさせたくない
でももしかしたら千菜と一緒に居られるのはあと少しかもしれない…