君が嫌いで…好きでした
淡雪


昼休みになってお弁当を持っていつもの中庭に向かう


今日は太陽が出てる…


雪が照らされてキラキラ輝く光景は何度も何度も見た


もうすぐ降り続いていた雪ともお別れ
暖かい春が来る


ベンチに座りご飯に持ってきた野菜ジュースを飲んだ


そしてご飯を終えるといつものように読書を始めた


だけど読み進めているうちに何だか眠くなってきた


私は眠気に勝てずそのまま目を閉じた



………シャク…シャク…シャク…



誰かの足音が近づいてるとも知らずに




―――…楓(かえで)「こら千菜。こんな所で寝たら風邪引くぞ。千菜!……全くしょうがないな…」



…………暖かい…



お兄ちゃんの夢を見た


リビングの机の上で寝ていた私に優しく掛け布団をかけてくれた

お兄ちゃんの優しさが伝わってきて暖かくて…心地よかった……



千菜「………………?」



目が覚めると馴染みのある中庭…


私…こんな所で寝ちゃってた…?
いつも賑やかな昼休みのはずなのに静か…

ケータイを開いて時間を確認する


やっぱりもう授業始まってる…
てゆうよりもうすぐ終わる……


何やってんだろ私……
とりあえず教室に戻ろ


立ち上がるとパサッと何かが落ちた


パサッ…?


何が落ちたんだろうと下を見る


コート…?なんでこんなところに…
それより誰の…?

そしてもう1つ気づいてしまった



千菜「これ………」



机の上にポツンと置いてあった…白いココア
手に取ってみるともう冷たくなっていたココア


もしかして七瀬奏叶がここに…?
じゃあこのコートも七瀬奏叶がかけてくれた?


告白してきて私の噂も怖がらずに近づいてきて…ココアもコートも……
お人好しにも程がある…


馬鹿じゃないの…
また借りが出来ちゃった…



千菜「七瀬…奏叶……」



その頃から奏叶の事を考えるようになった



キーン…コーン…カーン…



チャイム…もう授業が終わっちゃった…
これ返しに行かないと不味いよね
靴箱に入れるわけにはいかないし…


ってゆうか…七瀬奏叶は馬鹿?
自分のコートをわざわざ…


とりあえず早く返さないと七瀬奏叶は帰れないはず


私はコートとココアを持って少し駆け足で教室に向かった


教室に向かう途中誰かとすれ違った
そして声をかけられた



「あ、かなのお気に入り」



思わずその言葉に反応して足を止めてしまった


私に声をかけてきたのは確か七瀬奏叶とよく一緒にいる…


湊「あれ?それかなのコートじゃん
なんであんたが持ってんの?」



千菜「……貴方には関係ない。私急いでるの」



湊「まぁまぁちょっと待てよ」



そいつは私の腕を掴んできた



千菜「…離して!」



湊「かなならまだ教室に居る
きっとあんたの事を待ってんだよ
だけどその前にあんたに聞きたい事があるんだよ」



真っ直ぐ目を見てくるその人が次、どんな言葉をかけてくるのか私は少し怖かった
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