小さなキミと

好き?






まだ眠れないあたしに付き合ってくれたのか、服部自身も眠れなかったのかは分からない。


だけど結果としてしばらくの間、あたしたちは他愛のない話で時間を潰していたのだった。


「それにしても、葉山くんがあんなにゲーム弱いとは思わなかったな」


しみじみと言ったあたしに、「あいつ、昔からよえーんだよな」と服部が笑いながら言った。


「本当にもう、葉山くんのせいで計画台無しだったわ。聞いてよ服部、せっかくの罰ゲームがさぁ……」


あたしが思い出したのは、今から約2時間前の出来事だ。


帰宅済みの服部を除いたあたしたち5人は、勉強もそこそこに、各々好きにダラけていた。


トランプに飽きたあたしは、たしかベッドの上で葉山くんの漫画を読んでいたと思う。


すると結がもそもそとベッドに上がって来て、こんなことを言った。


「なんか、いい感じじゃない? あの2人」


結の指さす方を見てみると、日向と世良くんがTVの前に肩を並べて、一緒にゲームをしていた。


日向がバシッと世良くんの肩を叩いたり、世良くんが日向をからかうようなことを言ったりと、知らぬ間に随分と気を許せる間柄になったらしい。


ニヤリと顔を見合わせたあたしと結。


日向たちのゲームにキリが付いたのを見計らって、あたしと結は1人スマホをいじっていた葉山くんを引きつれて2人の間に割り込んだ。


4人体制なので、1人が休憩の制度でローテーションで回していくことにした。


「1番最初に死んだ人が罰ゲームね」


罰ゲームは、“勝った人の命令に従うこと”だった。


あたしと結はもちろん、葉山くんにも協力してもらい、勝った時の命令をこっそり決めておいた、のに。

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