小さなキミと

覚める

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最初に視界に現れたのは、やけに年季の入った見慣れない天井だった。


カーテンの隙間から差し込む光がいやに眩しくて、オレは瞬きを繰り返した。


あれ、ウチってこんな古かったっけ……。


意識がぼんやりして、ひどく身体がだるく感じた。


シーツの感触やマットの弾力やカーテンの色や何もかもが、いつもと少し違うような気がしないでもないが。


思考回路がふわふわな状態で、しっかり頭が回らなかった。


汗で髪の毛が額に張り付いていて気持ち悪かったけど、何だか腕を動かす事すらだるかった。


頭を使うのも、考えるのもだるい。


オレはその天井をしばらくボーっと見つめていた。


が、すぐに我に返って飛び起きた。


────やばい寝坊した今何時だ学校遅刻する!


焦りが全身を駆け巡った直後、脳みその奥底からの差し込むような痛みが襲いかかってきた。


唸りながら頭を押さえたその瞬間、俺は言葉を失った。


────嘘だろ。


オレは自分がベッドの上にいた事を知ると同時に、ここが自分の家ではないという事も知る事になった。


だけどそれは、もはやどうでもいい情報だった。


「ごっ……」


簡潔に言うと、ベッドに居たのはオレ1人ではなかったという事だ。

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