きっと、明日も君がすき。

淡い期待は、儚くて。


私が想像したことが、都合良く起こるわけがない。


成人式も、その後に行われた高校の同窓会も。


彼は、こなかった。


これで諦めれる。


そう思ってたのに。


最後の最後でこうして、それもこの場所であってしまうなんて皮肉なものだ。












「――重いなら持つけど」


「や!大丈夫」



「だよな。4つだし」


そういう佐田君は倍の8個を持って歩いている。


まさかこんな会話することになると思ってなかったんだけどなぁ。


一緒に椅子を運ぶことになるとは…

卒業式の練習も無事に終わり、古い椅子は新しく購入した椅子と交換するということで、資料室へと運び込むことになった。


「せんせーこれで最後です」

「おー。ご苦労」


教室の入り口で、運ぶ係りとして駆り出された野球部の子が、すれ違いざまに言って走って戻って行く。


元気すぎる。

「貸して」

「あ、ありがと」


先に自分の分を並び終えた佐田君が振り向いて私の持っていた椅子を奪う。


よく考えたら、私たちも卒業式の日で実習は最後なんだよね。また、卒業式で…お別れなのか。




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