きっと、明日も君がすき。



楽しそうな田島先生とは反対に、私の気持ちは沈んでいく。


「……そうなったら、助けてくれます?」




「うーん、どうだろ。生徒の質問に上手く受け答えするのも、先生の仕事だからね」


「……」

「そんな顔しないで。言ってあげたらいいじゃん。一緒に帰ってました。付き合ってましたーって」



楽しそうに言う先生に、目を見開く。

先生は気にせず、美術室の鍵を開けて、入っていく。

私は、結真くんが人気で、その過去を知りたいから同級生の私に高校時代の結真くんについて質問責めされるんだろうなって、それが大変だろうなって話をしてたのに。


「……知ってたんですか」



知らないと、思っていたのに。

一歩部屋に入れば、一瞬にして思い出す。

懐かしい絵の具と画用紙、そしてこの木の匂い。

背中に声をかければ、田島先生は首だけ振り返って、やんわりと微笑まれた。

「うん。噂はすぐ入ってくるしね。それに、」


授業の匂いがこもってるね、と窓際に近づいていく。

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