絶対やせて貰います。

「今日のお弁当もゴージャスですね」

カンナちゃんのお弁当を覗き込み感嘆の声を上げる私。

ゴージャスという表現以外思いつかない、そのお弁当は上杉家専属シェフが栄養バランスを考えプロの技を駆使して作り上げる完璧なもの

『おかず』と呼ぶには恐れ多い一品一品は漆塗りの重箱の中で上品に鎮座しているようにも見える。

高級な漆塗りの重箱を持って登校出来るのも車での送迎があればこそなのだ。

「こいは自分で作ってるのに……いつも美味しそう」

飛鳥ちゃんが私の弁当を褒めてくれた。

我が家は共働きの母が現在単身赴任中、そこで私が家事を担当している。

それで私、弟、父の三人分の弁当や日々の食事を作っている。

カンナちゃんの弁当と比べるまでもなく、ごく普通の庶民弁当だけど

作るのも食べるのも大好きなので自分自身は大満足なお弁当なの。

「あすかは相変わらず質より量だね」

カンナちゃんは呆れ顔で飛鳥ちゃんの弁当を見ている。

飛鳥ちゃんのお弁当には大きなおにぎりが5個必ず入っていて、卵焼き・ウインナー・煮浸しにした野菜の入った毎日ほぼ同じラインナップ。

その重量感がダントツのお弁当を飛鳥ちゃんはいつも本当に美味しそうに食べている。

作ってくれるお母さんに感謝しながら……



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