絶対やせて貰います。

後藤君の話にその場はシーンと静まり返ってしまう。

多分ここにいる皆が後藤君の心配があながち的外れでないと思っているからだ……

採用する側からしたら成績や資質が同等だった場合、容姿を評価の対象にしてより優れている方を採用するだろうと安易に想像がつく。

会社によってはメタボになると自己管理能力を問われリストラの対象になると聞いた事があるぐらいだから。

その沈黙を破ったのもやっぱり小岩井君。

「後藤……心配させて悪かった、ありがとな」

笑顔の小岩井君が後藤君にお礼を言う。

「でも、俺がデブなのはホントの事だし……今は彼女もいらない。

就活がどんな結果になるのか?

俺にも分からないけど、俺は今のままでいいんだよ……」

小岩井君の言葉は彼の本音なのかも知れないけど……

それを聞いていた私は何とも表現し難い虚しさを感じていた。

『どすこい』と呼ばれていた頃に私が思っていた事と不思議と”リンク”していたからかな?

自分の事を『どすこい』と呼ばれているのにヘラヘラと笑っていたあの頃の私。

言葉に反応していたのは私よりも寧ろカンナちゃんや飛鳥ちゃんの方だったと思い返す。

小岩井君が『デブ男』と言われたのを目の当たりにして当人以上に反応したのは私の方だったと……

今日の出来事は本当の意味で私がカンナちゃんや飛鳥ちゃんの気持ちを理解するに至った日かも……そう思った。


< 91 / 305 >

この作品をシェア

pagetop