マネー・ドール -人生の午後-

(2)

 俺は、真純の寝顔を見ている。
目頭には涙が溜まっていて、反対側の目尻からは、涙が流れて、枕を濡らしている。

 キレイだよ、真純。
お前はほんとに、キレイ。美人だよ。
なあ、真純。どうやったら、俺だけのものになる?
まだわからないよ。俺はお前が欲しい。ひとりじめしたいんだ。その顔も、声も、体も……心も。

 真純は微かに寝息をたてて、眠っている。
ウエーブの長い髪が、涙で濡れて、頬に張り付いている。
俺は、そっと髪を拭って、目頭に溜まった涙を指ですくって、舐めてみた。
 涙……しょっぱい……間違いなく、真純の体の中から出て来たんだ……

 全部、全部俺のものにしたい。俺だけのものに。

 俺は、異常な独占欲に囚われ始めている。
十五年前、真純を犯した時のように、自分をコントロールできなくなるような気がしていた。
ヤバイ……また、俺は真純を、傷つけてしまうかもしれない……
この手で、今度は本当に……

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