君のとなりで
そう言うと教室に入っていく。

学級委員ってやっぱり大変そうだな…

「待たせてごめん、帰ろ。」

さっさと歩き始める颯。

待ってよー!

早いよ!あたしと颯じゃ、一歩の歩幅が全然違うんだから!

下駄箱で靴をはきかえ、二人でならんで歩き出した。

いつも通る並木通りは桜が満開。

地面は散った桜のピンクで敷き詰められててすごくきれい。

あたたかい春の風が頬をくすぐる。

気持ちいいな…なんだかうとうとしちゃう。

「実結、ボーッとしてんなよ。転ぶぞ。」

「転ばないもん。っ…!わあっ!」

いったそばからつまずくあたし。

「ほら、言ったじゃん。…ん。」

そう言うとあたしの手を握った。

前より手を繋ぐ頻度が増えた。

だいたいはあたしが繋ぎたいって言うんだけど、たまにこうして颯から繋いでくれるんだ。

「ねえ、颯?」

「ん?」

「今年もよろしくね!」

改まってこんなこと言うのなんておかしいかもしれないけど、なんだか嬉しくてあたし
は言った。

「ばーか、知ってる。」

颯は笑って、そっぽを向いた。
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