君のとなりで
エレベーターのボタンを押して、あたしが先に出るのを待ってくれている颯。ほらね、そういうところが大好きなんだよ。
ほんとはすっごく優しいこと、あたしは知ってるよ。

「颯…!さっきの…」

思わず口走っていた。だってやっと一歩踏み出せたような気がして、なかったことにしたくなかったから。

「…続きは今度な。日菜さん待ってるから早く帰れよ。」

そう言うと、あたしの頭をぽんと小突き、家のなかに入ってしまった。

今度!?今度っていつよー!!急にあんなことされたら、心臓もたないよ!

悶々しながらあたしも部屋に入った。
ドアを閉めて、大きく深呼吸。今日はいろんなことがあって、なんだか疲れちゃった。

相変わらず、意地悪でわかりにくくて、無愛想な颯だけど、少しだけ幼なじみから抜け出せたと思えた記念日でした
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