君のとなりで
「あたしが桐生に告白なんてしたらキモいって思われるだけだもん。だいたいあいつのタイプは実結みたいな子で、あたしとは正反対のタイプなんだから!」

あゆちゃんはいつもはハキハキしていて言いたいことをズバッと言うお姉さんタイプなのに恋愛の、特に桐生くんの話になるとすごく消極的。

「卒業しちゃったらあゆは県外行くんだし、今みたいに桐生と会えなくなっちゃうんだからさっさと告白したほうがいいと思うけどね。」

早紀ちゃんが雑誌をめくりながら言う。

「そうなんだよね…夏休みとか帰ってきて会えるかもだけど、今みたいに毎日会えないんだよね…」

あゆちゃんは大きくため息をついた。

「そういう早紀はどうなのよ?」

「あたしは別に、昂の志望校、近いし。まあ、学校違うから不安がないっていったら嘘になるけどね。」

みんな色々大変なんだなぁ…

「大変なんだね…」

何となくそう言ったら早紀ちゃんとあゆちゃんはあたしに向き直った。

「「一番心配なのは実結なんだけど!」」

うわー!

すごい!

二人の声がピッタリ重なった!

「颯君とこのまま別れちゃっていいの?アメリカなんて行っちゃったら本当に会えなくなるよ?」

「アメリカの後も東京の大学でしょ?ちゃんと好きなら言わなきゃ!後悔するよ!」

早紀ちゃん、あゆちゃん…


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