君のとなりで
でもこれ、まだ生きてるよな。

この朝顔、俺が小学生の時に育ててたやつなのにいまだに夏になるとちゃんと花を咲かせるんだよな。

とりあえず掃き掃除でもしとくか…

箒で土や埃を掃いていく。

「颯!そっちも大掃除?」

呼ばれて振り返ると、ベランダ越しに真結ちゃんが柵に持たれていた。

「兄貴ならまだ部屋の掃除してるよ。」

あいつの部屋は大学のレポートやら何やらがかなり散らかっているので片付けに手間取っているはずだ。

「聖はいいの、どうせ部屋汚くて苦労してんでしょ。だから日頃から掃除しろって言ってるのにね。実結と同じ!それより、颯、春からアメリカ行くんだってね?」

真結ちゃんは知ってんのかな、ここ数ヶ月、色々あったこと。

「あたし、遠距離恋愛したことないからわかんないけど、颯と実結なら大丈夫だよ!それにね、ふふっ」

いたずらっぽく笑って俺を見る。

なんだ?

「二人は切っても切れない関係になるもんね!よし、じゃあ掃除に戻る!」

そう言うと真結ちゃんはバタバタと部屋に入っていってしまった。

何なんだ?最後のあの意味深な言葉は。

考えながら掃き掃除をしていると、今度は実結が出てきた。

「颯!」

何がそんなに嬉しいのか、こんなに近いベランダの距離でニコニコと手をふる実結。

「掃除終わったの?早いねぇ。」

「俺の部屋はお前と違って綺麗だからな。」

つい反応が見たくて、からかってしまう。

「違うもん!颯の部屋はモノが少なすぎるだけだもん!」

ムキになって言い返してくる実結が面白くて、こればっかりはやめられない。

「ちゃんと廉さんが帰ってくるまでには終わらせろよ?」

「それまでには絶対終わってますーだ!」
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