君のとなりで

今年初めて side実結

背中に感じる颯の温かさ。

なんだろう、今日の颯、なんだか甘い。

いつもより、甘い気がする。

颯の顔が見たくて、体を反転させる。

やっぱり、思ったとおり少し顔が赤い。

なんでだろう、そんな顔を見せられたら、好きって思いがもっともっと強くなっていく。

「実結…」

颯の手があたしの髪を撫でて、頬を撫でて、そして今、唇に。

親指で唇に触れながら軽く顎を持ち上げる。

少し首を傾けた颯の顔が近づいてくる。

こ、この状況は…!!

あたしはぎゅっと目を閉じた。

「みーゆー!そーうー!何やってんだよ!蕎麦が伸びちゃうだろ!」

突然部屋の扉が開いて、聖君の声がして。

「うわぁっ!」

あたしは慌てて颯から離れた。

颯も何が起きたのか理解してないみたいで、呆然と聖君を見つめてる。

「あれ?もしかして俺、お邪魔しちゃった?」

聖君がニヤニヤしながらあたしと颯の顔を見比べる。

「…ちっ…」

颯は小さく舌打ちをすると、玄関に向かって歩き出した。

「あーあ、残念だったな!颯のやつ、実結に何しようとしてたんだ?まあいいわ、行こうぜ!」

聖君は悪びれた様子もなく、あたしの背中をポンポンたたいた。
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