君のとなりで
十五歩目

あゆちゃんの勝負 side実結

「実結ーっ!やっぱりあたし、絶対無理だよ!」

あゆちゃんが今にも泣き出しそうな顔で、あたしの両手を握る。

「あゆっ!いい加減に腹くくりなさい!決めたんでしょ!今日告白するって!」

早紀ちゃんがピシャリと一括。

我が親友ながら恐いよー!

「ううっ…早紀の鬼ぃ…!!!」

あゆちゃんが恨めしそうな表情で早紀ちゃんの顔を見る。


遡ること、一週間前、事の発端はひとつのうわさ話から始まった。

「おい!桐生!ハンド部のマネージャーに告白されたってほんとかよ!」

お昼休み、いつものように早紀ちゃん、あゆちゃんと自分の席でお弁当を食べていた時に聞こえた、会話。

あゆちゃんの肩がぴくりと反応した。

「うるせえよ!関係ねえだろ!」

否定とも肯定とも、よくわからない返答をした桐生君。

あゆちゃんの顔を見ると、目を見開き、食べようとしていたご飯を机に落としていた。

「あゆ?なにしてんの?」

早紀ちゃんがサッとティッシュでご飯のかけらを拾い、包みながらいう。

「嘘…桐生が、ハンド部のマネージャーに告白された…」

見てのとおり、桐生君に片想い中のあゆちゃん。

「実結!早紀!あたし、どうすればいいの!?ああー…あたしの恋が終わる…」

カバリと机に突っ伏して、そのまま起き上がらなくなっちゃった。

あたしはどうすればいいのか、オロオロする。

「そんなの、簡単なことでしょ!」

早紀ちゃんがサンドイッチを優雅に食べながら言った。

「へえ?」

ようやくあゆちゃんが机から起き上がる。

「だから、あゆも桐生に告白すりゃいい話でしょ!」


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