心も体も、寒いなら抱いてやる
第5章
撮影が早くに終わって、俊の家に着いたのは2時を少し回ったころだった。

「マキシムのケーキを買ってきたからコーヒー飲んできなよ」という花蓮の誘いにのって、みのりは俊より先にビィの顎を撫でて「ただいま、ビィ。今日もゲロんないで頑張った?そう、えらいね。俊くんもがんばってたよ」と、一人会話であいさつを交わしてから、「お邪魔します」と部屋に入っていき、俊が玄関を上がった時にはビィはみのりの後についてすでに姿を消していた。

「ちぇ、なんだよ……」と、ひそかにむくれる俊には誰も気付かない。
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