心も体も、寒いなら抱いてやる
11時10分前に俊の部屋にコールするとすぐに部屋がノックされた。

みのりの荷物も全部持ってフロントでチェックアウトを済ませ、もじもじと何か言いたげなみのりに「何にもなかったから」と俊は伝えた。

「あの、いろいろと有難う……で、いろいろとごめんなさい」

「いいよ、別に。ちょうどマネージャーの仕事が終わりでよかったな。その足じゃ動けないし。あ、でもビィの散歩もできないじゃん」

ビィの散歩どころか俊の家までチャリで行くこともできない。

「ほんと、みのりって使えねー」となじられ、みのりは「ごめんなさい」とまた謝る。

「みのりが来てくれるまでビィの散歩はお預けだな」

「ダメだよ、お散歩はちゃんとしてあげなくちゃ」

俊がちろりとみのりを見る。

「じゃ、すぐに治してよ。ビィのために」
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