心も体も、寒いなら抱いてやる
第4章
8時過ぎに家に戻ると、ちょうど母が夕食の支度を終えるところだった。

珍しく太一がすでにテーブルについている。

「お帰り。みんな揃ったから熱いうちに食べちゃいましょう」

今日のおかずは豚肉の生姜焼きにポテトサラダにカブのそぼろあんかけ。

仕事から戻り、手際の良い母は、いつも短時間の間に数種類のおかずをこしらえる。

母がご飯をよそう間にみのりは味噌汁をよそい、太一は箸を配っていった。

3人で「いただきます」と手を合わせ、太一はまず生姜焼きを口に頬張り、みのりはポテトサラダを食べて、母は味噌汁をすする。

「うまいっ!」

「美味しい!」

「良かった。でも今日はケーキもあるから、腹八分目にしておいてね」

「どうしたの? お母さん、なんかいいことあったの?」と聞きながら、すでに太一は1杯目のご飯なくなって、早2杯目のお代わりをしようとしている。

ストレスで甘いものを欲しているみのりは「わーい」と単純に喜んだ。

けれどその後食後のケーキは母の報告を聞くうちに、喉を通らなくなってしまった。
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