僕と8人の王子



「俺たち、アイドルなんだ」


「はぁ、アイドルね.........。アイドル⁈」



柿畑奏太とやらは至って真面目な顔でそう言った。


「『spinner』って言うグループなんだけど、本当に聞いたことない?俺たち結構人気あると思ってたんだけどな〜」

「すみません、存じ上げません…」

「街中でも俺らのポスターとか看板とかよく見かけるんだけど」

「ん?あ、そうか!」


なんとなく顔を見たことがあると思ったのは看板やポスターのせいだったのだ。

アイドルであれば他の人が初対面の人間の名前を知ってたのにも納得がいく。


「ちなみに俺がリーダーだよ」

「へー。そんなに興味ないな」

「酷くない?!」



「まぁ奏太がリーダーとかほぼ見せかけだけどね」


そう言って近づいて来たのは、富永晴斗だった。


「な、晴斗⁉︎見せかけって言うな‼︎」

「だって、本当のことじゃん。あ、そうだ」


そう言うと、僕の方をじっと見つめてきた。


「ねぇ。倉瀬くん、ひなたって呼んでいいかな?」

「ん?あぁ、うん。いいよ」

「ありがとう!ひなたっ‼︎僕のことは晴斗って呼んでね」



晴斗の可愛さに昇天しかけたところを、誰かが後ろから抱きついてきた。



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