僕と8人の王子

「ん?……ちょ、ちょっと待ってお兄ちゃん!一旦、一旦落ち着こう」


ひなたは何故か驚いた様子で俺を制止した。


「どうした、ひなた?ひなたを男だと思ってる奴と同居を許すなんて、危なくて放っておけないだろう?それに、お兄ちゃんならずっと守ってやれるぞ(なにより、お兄ちゃんはひなたと一緒にいたい!)」


本音は隠しつつ俺の本心を伝えると、永井が口を挟んできた。


「いくらなんでも言い過ぎじゃねぇ…、ないですか!俺達だって日向のこと大切に思ってるんだ…、です!」

「は?大切に思っているなんてのは当たり前だろう。俺の従妹(いもうと)なんだから。それに問題はだな…」


言いかけた俺をひなたが遮る。


「2人とも!勝手に話進めないでよ。…お兄ちゃん、心配してくれるのは嬉しいよ。でもごめんなさい、僕はこのままがいいんだ」


意外すぎる展開に俺は言葉を失った。


「だから言っただろ。日向は俺達が大切に…」

「蓮!」

「…悪い」

「お兄ちゃんと暮らすのが嫌なわけじゃないんだよ?でも、もしこれが父さんに知られたら、与えられた環境に順応できない跡継ぎにふさわしくない人間だと思われるかもしれない。だから、お兄ちゃんには甘えられないよ」

「そうか……、ひなたは本当に賢くていい子だな。でも俺はそんなひなただからどうしても守りたいと思うんだ。


一緒に暮らせないというのなら残念だが仕方ない。



その代わり、

釣り部に入らないか?」

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