臆病者の鬼遊び
七海子は、ふうっと胸を撫で下ろした。
まさか、「彼はこれまで長い事、座敷牢にいました」なんて答えるわけにはいかない。
倫太郎は、七海子の気苦労などこれっぽっちも気にしていないようで、
壁のメニューを眺めて首を傾げてみたり、ゴミ箱の台をおっかなびっくりいじったりしていた。
そのうち、溶接してあるゴミ箱を無理矢理引っこ抜こうとして、
七海子に「だめー!」と叫ばれて、ばつが悪そうにしていた。
(だがしかし、ゴミ箱はバキリと不吉な音を立てて、一度浮き上がった。
恐るべき、馬鹿力……!)