臆病者の鬼遊び

転校生



 

教室は、うるさかった。
 

しかし、先生の次に入ってきた『もう一人』を見た瞬間、教室はしんと静まり返った。



「おはよーう、みんなー!」
 

Tシャツにハーフパンツという出で立ちの、体育会系でなおかつ、むさくるしい系の担任の先生が言った。
 

続けざまに担任は黒板に、大きな字で名前を書く。


「お前達に、新しいお友達を紹介する! 


転校生の、木崎倫太郎君だ!」
 

もう一人――倫太郎の姿を見た生徒達は、言葉を失った。
 

すこし髪の長い倫太郎はすらりと背が高く、とても白い肌の青年だった。


そして何より……彼は、美人だった。
 


男子は、


『女? あれ女だろ?』

『ばっかやろ、良く見ろズボン穿いてるよ』

『まじかよ~!』


とアイコンタクトで会話をし、


女子は女子で、『王子様!』と瞳を輝かせていた。




< 8 / 219 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop