LOZELO



話してみれば結構気があったし、優しくて思いやりに溢れる夏美を私はすぐに好きになった。

夏美も、私みたいなひねくれ者の話を嫌な顔一つせず聞いてくれたし、紗菜といると楽しいといつも言ってくれた。

莉乃も、最初はギャル系のグループで今よりケバくてはじけていたけれど、部活で一緒になったのをきっかけにそのグループから離れて、私と夏美とつるむようになった。

3人でいると居心地がいい、とあの頃から言っていたっけ。莉乃。

夏美ともすぐに仲良くなったし、気を遣わなくてもいい3人組だった。

でも、夏美はクラスのいじめの標的にされて。

私と莉乃は必死に夏美をかばった。

授業中に笑われたら、笑ったやつにガンを飛ばしたり、咳払いしたり、机を蹴ったり。

当時の担任は、信頼を置いてる部活の顧問だったから、助けを求めたりもした。

でも、浅野は聞くだけ聞いて、見てみぬふり。

むしろ、いじめている側の生徒に加担するようになっていった。油に水を注ぐような言動は、人として最低だった。

耐えられず夏美が退学してから、私は浅野を許す選択肢も当然持てなかった。でもクラスは変われなかったから、とりあえず部活をやめた。

それから、浅野の私への対応が変わったんだけど。

別にそれを夏美のせいだとは思わなかったし、私が学校で浮くよりも夏美のことがずっと心配だった。

もっとやり方があったかなとか、後悔も尽きなくて。

例えいじめられても、担任が助けてくれなくても、泣かなかった夏美の姿が時々浮かんできて。

だから、会いにきてくれて本当に嬉しかった。
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