LOZELO
「あとね、紗菜は笑った顔が一番かわいいよ!夏美もそう思わない?」
「うん!無表情ははっきり言って何考えてるかわかんなくて怖いけど、笑うとすごい優しい顔になるよね」
夏美、無表情のくだり、聞き捨てならないぞ。
でも嬉しい。
笑うこともしたくなかった時期もあったから。
「眉毛いじんなかったら、きっと優しい感じになってモテモテだよー?」
莉乃に言われ、眉毛はチャームポイントなの、と言い張った。
将来なんて、考えたことがなかったけれど。
最近変な感情がわいて困っているのだ。
相談したら、笑われるかな。
でも、二人になら笑われてもいいから聞いてほしい。
そう思える自分が、少しいいなって思った。
「あのさ、私、入院してから思うことがあるんだけど」
教師になる夢よりもっと大きな夢が、私の心を支配しようとしていた。
言葉にしたら現実味を帯びてしまうかなと、自分でもあんまり考えないようにしていたけれど。
「あのね」
ぎこちなく語った私の"想い"に、二人は微笑んで、背中を押す言葉をくれた。
夢を持つ紗菜がなによりも素敵だ、とのお褒めの言葉と共に。
それでもまだ、夢の夢の夢の段階でとどまっているんだけど。
いろいろ、こっそり調べ物をしていることは、二人以外にはまだ極秘なんだからね。
青春の匂いが、笑い声と共に私の全身を染めている、土曜の昼下がり。