LOZELO



杏子ちゃんの喋りから、本当に感動したんだなって伝わってくる。

ご飯が食べれる幸せか。

澪が言ってた。

おねえちゃんが帰ってきたら、澪もママのお手伝いしておねえちゃんのご飯作るよ!って。

どんなにおいしいだろう。

私を思う愛情がいっぱい詰まった、ご飯って。


「なんか、泣きそう」

「もー、紗菜ちゃん泣き虫ー」

「家族のこととか、いろいろ考えちゃって」

「もうすぐだよ」


こんなにも退院が待ち遠しくなるなんて。そしてその理由が家族にあるなんて。

夢みたいな話だ。入院前の私にとっては。


「そういえば、杏子ちゃんは退院の話とか出てるの?」

「うん、来週末くらいには退院できるって」

「おぉ!良かったね!」

「採血の結果も安定してきてるみたいだから、点滴も明日には外すみたい」

「そっか、点滴も外れるんだね」


いつも横にいるのが当たり前になっていたから、少し驚いた。


「退院しても引っ張って歩くとか、絶対嫌だよ」

「私も嫌だ」


私にもその日が来るんだなぁ。

杏子ちゃんの表情が日々明るくなっていってるのを感じてたから、すごく楽しみ。


「退院したら、絶対ご飯とか行こうね」


言ったのは私。


「うん!紗菜ちゃん住んでるとこにも行ってみたい!」

「だったらうち泊まってって!多分、澪も一緒に寝るー!って来ると思うけど」

「大丈夫。私、弟しかいなくて、妹に憧れてたから大歓迎だよ!」


何でも話せて、日を追うごとに自分をさらけ出せるようになっていく。

杏子ちゃんがいてくれたから、私は毎日本当の自分に気づかされた。

きっとこれからも。
< 143 / 177 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop