四神転送
そう言ってゲスの二人を一瞥し、そのまま自分の机へと戻っていった。
まるで、何事も無かったように……
「何アイツ。っつか誰?」
「竜崎火焔[りゅうざきひえん]。成績優秀、スポーツ万能、オマケに容姿端麗で人当たりも良しの絵に書いたような男や。ちなみに生徒会の副会長。」
人当たりが良いなんてそんなバカな!と言いたかったが、自分の席に戻った火焔に群がる生徒達を見てその言葉を飲み込んだ。
生徒達に向ける、さっきまでのしかめっ面が嘘のような爽やかな笑顔に、ますます喧嘩を売られた訳が解らない。
「っつか……このクラスにいたんだな、そんな奴。」
「お前なぁ…一応クラス仲間なんやぞ?このクラスになってもう半年やねんし…」
「うるせぇよ!っつか、お前はただのクラス仲間にしては随分と情報満タンじゃねぇか。」
「まぁ、優等生キャラの役が来た時の為に研究してたしな。」
「ああ…そう言う事か……」
妙に説得力のある言葉を適当に流し、弾はつまらなそうに机に突っ伏す。
「………なんっか気に食わねぇ。」
誰に言うでもなく呟くと、重たくなった瞼に従うように意識を手放した。
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