あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
何年経っても消えなかった罪の意識。後悔を、心からの懺悔をしなければと思っていた。あの気持ちは偽物だったのだろうか。俺は今、あの頃の自分に戻っている。残酷で、子供で、鬼のような。


『ああ、死んだのか』


反吐が出る。

堪らず激しく(かぶり)を振り、ずしりと重たい荷物を持ち上げた。


「……行こう」
「ああ、そうだな」


聖は俺の数歩後ろを着いて歩いて来るだけで、それ以上は何も言わない。ありがたいなと思う。昔から、聖はそうだ。そういう奴。

ざわざわと森が騒ぐ。

ひぐらしの鳴き声はピークを迎え、空の端が少し(あか)く染まり始めていた。まるで血の色のような、綺麗な赫色に。
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