あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
 
「さて、と」


大まかな話を終え、親父が退室した部屋に一瞬だけ気まずい空気が流れた。それでも俺は物怖じせずに四人を見る。

複雑そうな、微妙な顔の四人。


「美菜を無視するって言っても、他の奴にバレたらオシマイだからな。普段通りにしていないと。一緒に居ながら無視って、結構大変そうだな」
「……千秋?」


早紀の問い掛けに、答えるつもりはない。


「全部、全部、美菜の為だ」
「う、うん」
「美菜の、千社守祭の、なあ、そうだろ?」
「……わかったよ、千秋」


徐に立ち上がり、閉め切っていた窓を開け放つ。冷たく張り詰めた外気は、肺のなかで温く微かな熱を持って身体を刺激した。


『美菜の為』


違うね。

全部、自分の為だ。親父の立場を利用し、友をも欺く。俺が過ごした無駄で苦痛でしかなかった一年間、お前にも味あわせてやるよ。
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