あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
ぽたり、ぽたり、再び降りだす雨が俺の瞳に落ちて重なる。


「あんな風には言ってみても、……生きて償うのと、死んで償うの、どっちが正解だなんてやっぱりわからなかったよ。正直まだ、全然、わからない。でも、だからこそ。……生きて、悔いて、償ってから死んでくれ、千秋。……俺、どうしてもお前を赦せない」


(い、やだ)


「出来るだけ長く〝生きたまま〟後悔して、死んでくれ」


(嫌だ、嫌だ嫌だ、嫌だ!)


――ザクッ、

ああ、あの日の音がする。過去から音が追い掛けてくる。逃げられない。息ができない。湿っぽい土の匂いが充満して、それから、


「大丈夫、約束しただろう」
「……ひ、じり、嫌…っ゙」
「お前を一人にはしないって」


大粒の涙が一つ、聖の右頬を伝って俺にダメ押しのように降った。
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