あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
どれだけ鈍い人間でもいずれ気が付く。

ましてや俺達は当事者だ。気付かないわけもない。恐らく彼女は、美菜は、俺達で一人の人間を作ろうとしているのだろう。

腕を、脚を、胴体を、下半身を、頭部を。

丁度、五人で一人分の人間になる。若くしてその生きる希望を理不尽に奪われた自分を取り返そうとしているのか、或いは。


「………わ、藤川!」


聞き慣れない(しゃが)れた低い声で覚醒した。

急きょ執り行われた事情聴取。

同じ村出身の同級生、それも仲良しグループが連続殺人のターゲットにされているとなれば、極々自然な流れだとは思う。

それでも俺が恐れたのは〝今〟ではなく〝過去〟の蛮行(ばんこう)

幸次の声が頭のなかで責めるように囁く。


『今更、自首して済む問題でもねえしな』


全くを以てその通りだ。

自首をして済むのであれば、とっくの昔にそうしている。
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