あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
 
『罪と罰、俺達はきっと』
「っ、聖!」


弱々しい聖の言葉を遮り、声を荒げる。


『……悪い、千秋』


聖は電話越しにでもわかるぐらい本当に申し訳なさそうに謝り、それっきり口を閉ざしてしまった。そんな聖にかける言葉が思いつかず、俺もつい無言になってしまう。お互いに察していたのだろう。

口を開けば俺達は、瞼の裏に思い出す。

もしもあの頃に戻ることが出来るのなら、俺はなんだってする。いや、俺達はなんだってしなければならない。

犯した罪の代償はあまりにも大き過ぎて、今もなお黒く黒く胸の奥に燻り続けている。どうして俺達はあんなことをしてしまったのだろう。どこで道を踏み外したのだろう。歪みはじめていた日常に、なぜ誰一人として気が付くことが出来なかったのだろうか。
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