あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
火葬場から立ち上がる煙をぼんやりと見つめながら伏せっていた俺に、背後から声を掛けてきたのはもう一人の親友。


「骨上げ、行かないのか?誘われただろう」
「……俺にそんな資格ない」


抱えた膝に顔を埋め、まる駄々っ子だなと自嘲する。

それでも真っ直ぐに立ち上がれる自信がなかった。聖の顔を見る勇気がなかった。結局、俺はいつまで経っても変なところで傲慢な癖に臆病で弱い奴なんだ。聖は気付いているのだろうか。

次に殺されるのは〝自分〟かもしれないと。


「なあ、千秋」


頭上から降って来る優しい低音は、やっぱり俺の涙腺を緩める。


「……次、多分……俺、だよな?」
「!!」
 
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