あの日、僕等は罪を穴に埋めた─secret summer─
「……早紀?」
すらりと伸びた手足に、高い位置で綺麗に束ねられている長い髪。面影はある。ちゃんと早紀であると認識はできる。けれど、あの窶れ方はなんだ。痩せたなんてレベルではない。
俺と聖は顔を見合わせ、早紀のもとへと足を進めていく。焦り、慌てる俺達とは相反し、早紀は微動だにしない。厭な胸騒ぎがした。
「早紀、お前、」
それは本当に一瞬の出来事。
「ゔああああぁぁあ゙あァァ!」
俺の手のひらが彼女の肩に触れるか触れないかのところで突然奇声を上げたかと思えば、こちらへ一瞥もくれることなく走り去っていく。残された俺達はただ呆然と立ち竦むことしか出来なくて。