終わりかけの永遠に
永遠その3

人気者

その日から、騎田くんは完全に人気者になった。

『歌もギターも上手い、カッコいい1年生』。

それが、騎田くんのもう一つの異名となった。


「あの子あの子!1年生の!」

「あー!あの噂の?」

「そうそう!」


そんな周りの変わりように、騎田くんはジトッと私を見てきた。


「...人通りすくねぇんじゃねぇのかよ、あの場所」

「そ、そうだよねぇ...おかしいなぁ!」

「ふざけんなよ。ったく...」


困ったような騎田くん。
まぁ確かに、この頃騎田くんは大変そうだ。

男子には一緒にカラオケに行こうと誘われ、女子には毎日のように告白され、合唱部には声出しの練習を見てほしいと言われ...

でも、騎田くんは全て断っているらしい。


「カラオケくらい行ってみたら?絆が深まるチャンスじゃん!」

「別に俺は絆を深めたい訳じゃねぇし」


そんな話をしながら教室に入ると、騎田くんは一気に囲まれた。


「騎田千歳の人気すごいねぇ」


咲良は騎田くんの方を眺めて言った。

騎田くんは周りに次々と話しかけられて困っているみたいだけど、きちんと答えているみたい。

面倒臭がりながらも、やっぱり優しいんだと思った。
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